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みなさま、こんにちは!
BunaP
この度は『知っておきたいデグーの病気とケガ~歯の病気編~』と題してやっていきたいと思います!
デグーさんの体調悪そうだな…今日は全然回し車回さないなぁ…
もしかして、病気やケガをしてる?と不安になるときありますよね?
素人目で勝手に判断することは危険ですが、普段と違い違和感を感じとるためには、
デグーに起きやすい『病気とケガ』を把握しておくことでスムーズに行動を起こせると思います
それでは、今回は『歯の病気』に注目して確認していきましょう!
歯の病気
①切歯の不正咬合
<切歯の不正咬合(せっしのふせいこうごう)とは?>
切歯とはデグーの場合、前歯の上下に生えている4本の歯のことになります
切歯(前歯の上下)は生涯に渡って、ずーっと伸び続けます
物を食べるときに上下の歯が擦れ合い削れる為通常であれば伸びすぎることはありません
また、食べていない時でも歯を擦り合わせ、歯の長さを適切に保とうとしています
しかし、何らかの理由で上下の歯がきちんと嚙み合わなくなる場合があります
これが『不正咬合』です
不正咬合になると、上下の歯を擦り合わせて削ることが出来ない為、歯が伸び続けてしまいます
切歯が噛み合わなくなる理由としてケージの金網を齧り続けることが挙げられます
本来であれば歯に掛からない方向からの力が続けることで歯が歪んだり、歯根に負担が掛かります
また、高い所から落下して顔をぶつけることで切歯が折れてしまい、噛み合わなくなることもあります
そして、どんだけ気を付けていても遺伝による不正咬合の可能性もあります
切歯の不正咬合があると臼歯の嚙み合わせにも影響するため、臼歯の不正咬合になることもあります
<症状>
切歯の不正咬合が進行すると食べ物をうまく食べられなくなったり、口に咥えた食べ物をこぼしたりするようになります
また、よだれで口の周りが汚れ、よだれが垂れることを防ぐために前足で口の周りを擦るような仕草をみせるようになります
食べられない状態が続けば、毛並みのツヤが悪くなりどんどん痩せていきます
また、給水ボトルがうまく使えず水も飲めない状態になるため、直ぐに脱水症状が現れます
<治療法>
エキゾチックアニマル診察が可能な動物病院で歯を適切な長さまで削る、切る手術が必要となります
一度、症状が発生していますと治りにくく、定期的に削る必要があります
自宅でデグーの歯を切ったり、削ったりすると歯に無理な力が掛かって歯根を痛めたり、歯が縦に割れてしまうこともあるので
必ず、病院で手術を受けるようにしてください
<予防法>
金網の内側に木製の策を取り付けるなどして、金網を直接齧られないように対策すると効果的です
また、齧り木を与えて歯の伸びを抑えるようにしてください、齧り木は歯の伸びを抑制するだけでなく
退屈予防にもなるので、金網から注意を逸らすことにも繋がります
落下事故を防ぐのため、ケージ内のロフトやステージなどを設置するときは、
落差がないように階段状に移動できる形で配置するなどがあげられます
②臼歯の不正咬合
<臼歯の不正咬合(きゅうしのふせいこうごう)とは?>
臼歯とはデグーの場合、口を大きく開かないと見えない奥歯になります
チモシーをちぎるのが切歯で、すり潰すのが臼歯にあたります
デグーの臼歯も切歯と同様に伸び続けますが、繊維質の多い植物をすり潰しながら食べるため、
下顎の歯が上顎の歯の咬合面を満遍なく擦り合わし上下の歯が削れて適切な長さが維持されています
しかし、繊維質の少ない食べ物や簡単に砕けるような食べ物ばかりを食べていると、臼歯を満遍なくすり合わせることが出来ない為
臼歯の一部だけが削れ、擦りあわない部分が伸び歯が嚙み合わなくなります
そして、上顎の臼歯が外側に、下顎の臼歯は内側に向かって棘のように伸び口の中を傷つけます
また、伸びた歯が脳にまで達していたケースもみられるようです
臼歯の不正咬合も切歯同様に遺伝する可能性があります
<症状>
よだれを出し、口をくちゃくちゃしていたり、口の周りが汚れていたり口の周りを気にする動作が見られます
前足で口の周りを拭くため、前足も汚れているケースが多いです
症状が進んでいくと、食べられなくなっていきどんどん痩せていきます
食べていないときのバロメーターとして、便が小さく、少なくなります
不正咬合があっても、食べることがありますが、その場合よだれが多く出ます
歯ぎしりの症状がみられることもあります
切歯を比べ、見えづらい部分の歯になりますので、日頃からの餌の消費量、便、水、体重、歯ぎしりの音など控え
変化がないか観察していきましょう
<治療法>
臼歯を削り長さや向きを適切にそろえる治療が必要になります
定期的に状態を確認することが必要で、一度発生すると棘のように尖った歯に伸びやすく
直ぐに不正咬合が再発してしまいます
臼歯の削る処置は麻酔を伴う手術になるケースが多いですが、切るだけの作業であれば麻酔を行わない場合もあるようです
麻酔を伴う手術の場合、デグーの体力が低下してからでは処置できない場合がありますので
健康体で少しでも歯の違和感を察知してあげなければ、手遅れになってしまう可能性があります
<予防>
臼歯の伸びを抑制するため、牧草を十分に与える必要性があります
牧草のように繊維質の多い食べ物を食べることで臼歯をしっかりと使ってもらうことは最大の予防になります
③オドントーマ
<オドントーマとは?>
オドントーマは『仮性歯牙種(かせいしがしゅ)』とも呼ばれる、あまり聞きなれない病気です
歯が伸び続ける動物では、歯根の根元では常に新しい歯の組織が作られているので、
歯がすり減っても短くなりすぎることがありません
ですが、切歯が強い衝撃を受けたり、折れたりすると、歯根部で作られた歯が正常に伸びることが出来ず
歯根部に留まって硬いこぶのようになってしまいます
上顎の切歯の歯根部にこぶができると、そのすぐそばにある鼻腔や副鼻腔などの軌道が狭くなったり、
こぶに圧迫されることで、鼻炎や副鼻腔炎が生じます
デグーは普段鼻呼吸を行いますが、空気の通り道が狭くなるため呼吸しにくくなり、呼吸困難になります
<症状>
くしゃみ、鼻水がでます、炎症がひどくなると膿のような鼻水が出たり、呼吸をするときに異音がします
鼻や口の周りを気にするような仕草をするようになります
鼻で呼吸できないので口呼吸を行いますが、口呼吸では空気を肺だけでなく胃まで取り込んでしまい
おなかにガスが溜まってしまいます
呼吸困難を起こし、食欲が無くなり、痩せてしまいます
<治療法>
こぶが出来ている切歯をこぶごと抜歯する方法があります
こぶが大きいと完全に抜歯できない場合もあり、鼻の上部の骨に穴を開け、空気の通り道を作ります
自然に穴が塞がってしまうので、繰り返し手術を施し、穴を開ける必要性があります
鼻炎などの炎症を抑えるには、抗生物質や抗炎症剤を投与します
これらの薬を鼻から吸入させる『ネブライジング』という治療を行うこともあります
呼吸を補うために酸素吸入器を使用することもあります
<予防>
金網を齧らせない対策、落下事故を起こさない対策が必須です
④その他
<歯根膿瘍>
歯根部が伸びて炎症を起こし、膿が溜まることがあります
上顎の歯根膿瘍では、目の下がはれたり、目が飛び出てみえることがあります
下顎の歯根膿瘍では、頬や顎が腫れていきます
<歯の破折>
ケージ齧りや落下事故で、切歯が折れることがあります
折れただけならまた歯は伸びてきますが、歯根も痛めてしまっていると
伸びて来なかったり、伸びる方向が異常になったりし、その歯と噛み合うはずの歯も伸び方がおかしくなってしまう症状です
みなさまデグーの歯事情について学ぶことが出来たでしょうか?
齧歯類には大切な歯で、悲しいことにデグーには歯の病気で亡くなってしまう子が多いのが事実です
気づきにくい部分もありますが、ちょっとした確認で助かる命もありますので、
毎日の歯磨きと同じようにデグーちゃんたちの歯も一緒に気にしてみてあげてください!
みなさまもデグーと一緒に健康的な生活を送りましょう!
それではみなさま、良いデグーライフを!
参考文献 『デグー完全飼育』 著:大野瑞絵 出版:誠文堂新光社