目次
みなさま、こんにちは!
BunaP
この度は『知っておきたいデグーの病気とケガの種類』と題してやっていきたいと思います!
デグーさんの体調悪そうだな…今日は全然回し車回さないなぁ…
もしかして、病気やケガをしてる?と不安になるときありますよね?
素人目で勝手に判断することは危険ですが、普段と違い違和感を感じとるためには、
デグーに起きやすい『病気とケガ』を把握しておくことでスムーズに行動を起こせると思います
それでは、病気の種類とケガの種類を確認していきましょう!
その他の病気
ペニス脱
<ペニス脱とは?>
デグーのペニスは通常、包皮に収まって体の中に引っ込んでいます
しかし、なんらかの理由で出たままになることがあります、これを『ペニス脱』をいいます
ペニスが包皮から出てくるのは、交尾の時の他にグルーミングや性的なフラストレーションがあるときなどです
その時に、糸くずや被毛などがからまる、ペニスが出ていると時間が長くて乾いてくる、ペニスが腫れている、などがあると容易に包皮に戻らなくなります
時間が経つたつと壊死したり、デグーが気にしてかじってしまうこともあります
また、可能性は低いですがメスのデグーにも似たような症状で、『膣脱』を起こすこともあるようです
<症状>
ペニスが出たままになっています
時間が経つと赤黒くなったり、壊死をします
オスのデグーがしきりに生殖器周辺を気にしているときは、出たままなったペニスを舐めたりかじったりしていることがあります
<治療>
絡まっているものがある場合はワセリンなどを塗ってもとに戻るようにします
必要に応じて抗生物質や抗炎症剤を投与します
<予防>
予防方法は特になく、如何に早く気づいてあげられるかが悪化を防ぐための予防になりますので注意して観察していきましょう
腫瘍
<腫瘍とは?>
腫瘍とは細胞が異常増殖を起こす病気です
腫瘍には、増殖のスピードが遅く、転移しない『良性腫瘍』と、増殖スピードが早く、転移をしてしまう『悪性腫瘍』いわゆる『癌(ガン)』があります
デグーは腫瘍が少ないと言われていますが、それでも色々な種類の腫瘍がみられています
腫瘍の原因には環境や遺伝など様々なものが考えられています
高齢になると腫瘍の発生が増えるのは、他の動物と同様です
<症状>
腫瘍の種類やできる場所によって様々です
皮膚に近い場所であれば、しこりや腫れ物に気づきやすいでしょう
痩せて元気が無くなり、食欲がなくなるといった症状も見られます
<治療>
腫瘍の種類やできる場所、個体の年齢や健康状態などにより様々です
摘出手術、化学療法などがあります
治療することによってどのくらいよくなる可能性があるのか、副作用などデメリットはどのくらいあるのかといったことや、
経済的な負担なども含め、獣医師とよく相談して決めるとよいでしょう
積極的な治療をせず、生活の質を高めることを優先させるというのも選択肢の1つになります
<予防>
絶対にならないという方法はありませんが、適切な飼育環境で飼い、日々の健康チェックで早期発見につとめましょう
毛引き・自咬症
<毛引き・自咬症とは?>
自分の体の毛を齧ったり、引き抜く『毛引き』、自分の体を齧る『自咬症』などの問題行動がみられることがあります
多くの場合、ストレスが原因になっています
自分の口が届くところならどこでも齧りますが、前足やしっぽによく見られます。ひどくなると出血したり、しっぽが短くなるほどかじってしまうことがあります
怪我をしていたり、なにかの治療で薬を塗っているなどで違和感がある場合も毛引きや自咬症のきっかけとなります
多頭飼育している場合には、他のデグーの毛をかじったり抜いたりすることもあります
頭部や目の周り、首筋にみられることが多いようです
<症状>
毛引きでは、毛が短く切れていたり、皮膚が露わになってしまいます
自咬症では皮膚を齧り、出血しています
いずれも、同じ場所何度も毛づくろいしている時には注意が必要です
<治療>
ストレスがあるなら、環境を適切なものに改善します
傷があるときは、患部を清潔にし、感染を防ぐために抗生物質などを投与します
症状によって精神安定剤を投与します
患部を齧らないようにエリザベスカラーをつける方法もありますが、かえってストレスになりますし、
ケージレイアウトが複雑になっていることの多いデグーには危険なこともあります
退屈しない環境を作ったり、一緒に遊んであげるなどの方法で、齧ることから気をそらせるようにしましょう
<予防>
ケージが狭くないか、退屈していないか、運動不足ではないか、同居デグーとの相性が悪くないかなどの点を見直しましょう
怪我の治療後に自咬をしないよう、よく様子を見てあげましょう
熱中症・低体温症
<熱中症・低体温症とは?>
デグーのような恒温動物は周囲の温度が寒くても暑くても、自力で体温を調整することが出来ます
生き物がもつホメオスタシスの1つです
大きな耳には毛細血管がたくさん張り巡っており、暑いときには体熱を放散する働きをしています
暑いとだらっと体を伸ばしていることがありますが、できるだけ表面積を広げることで、体温を逃がしています
デグーは人間のように汗をかくことが出来ない為、気化熱による体温調整が出来ません
また、寒いときには体をできるだけ丸めて体の表面積を小さくして、体温を逃がさないようにしたり、体を震わせて熱を作ったりします
ところが、体温調節能力を超えた暑さや寒さになると、体温が上がりすぎたり、下がりすぎたりしてしまいます
・熱中症
温度や湿度が高く、風通しの悪い密閉状態で起こります
日が当たらない場所でも、熱中症は起こります
暑い中で水を切らしていることも熱中症の原因になります
外出時など、車の中に置きっぱなしにしないようにしましょう
熱中症の症状が出始めると制御できないほど体温が上がり、意識障害を起こします
肥満のデグー、子供や高齢、妊娠中のデグーは熱中症を起こすリスクが高くなります
・低体温症
とても寒かったり、急激に温度が下がったとき、体が濡れているときなどに起こります
体温を維持することができなくなり、命に関わるほど体温は低下してしまいます
体温調整機能が未発達な幼いデグーや、機能が衰えるシニアデグーでは特に注意が必要です
栄養状態が悪いときにも低体温症をおこしやすくなります
デグーでは糖尿病のリスクを考えて糖質制限をしているケースが多いですが、糖質はエネルギー源となる非常に重要な栄養素です
なお、デグーは冬眠をすることがありませんので低体温でじっとしているからと冬眠ではなく低体温症による症状であると思われます
<症状>
・熱中症
耳が赤くなり、呼吸が荒くなります
よだれが多くなります
ぐったりし、症状が進行すると痙攣し、昏睡状態になって死に至ります
・低体温症
手足や体が冷たくなります
動きが鈍くなったり、震えたりします
心拍がゆっくりになります
進行すると意識を失います
<治療>
・熱中症
体を冷やして体温を適正温度に下げます
脱水症状の時は補液をします
・低体温症
ゆっくりと体を温め、体温を上昇させます
必要に応じて温めた補液をすることもあります
<予防>
適切な温度を保って飼育しましょう
デグーの適温は『20~24℃』と言われています
春や秋は過ごしやすい温度の日も多い反面、温度変化の大きい時期で、急に暑くなったり、急に寒くなるので注意が必要です
また、『熱中症は夏の病気』『低体温症は冬の病気』と決めつけてしまってはいけません
冷暖房の使い方など状況によって、夏に冷やしすぎて低体温症、冬に暖めすぎて熱中症といったリスクもあります
デグーのいる場所の温度をいつも確かめ、デグーが快適な場所を自分で選べるようなケージレイアウトを心がけましょう
肥満や糖質の摂取不足もよくありませんので、栄養バランスのよい食事を与えましょう
肥満
<肥満とは?>
肥満は病気ではありませんが、過度に太りすぎていると、様々なリスクがあります
□肥満原因
摂取しているエネルギーが消費するエネルギーよりも多いと、余ったエネルギーが体に蓄積して肥満になります
飼育下では、食べるものを探して動き回らなくても食事ができますし、いくら広い場所で遊ばせても野生下での運動量には到底及びません
むやみに高カロリーな食事を与えていると肥満になってしまいます
デグーは完全な草食動物ですが、『デグーマウス』といった誤った名称で販売されていることもあり、ハムスターなど雑食傾向の動物の食事が与えられているケースがあります
こうしたことも肥満の一因かもしれません
太りすぎはよくありませんが、痩せすぎもよくなく理想的なのはがっちりとした肉付きのよい体格です
適切な食事を与え、できるだけ体を動かす機会を作り、デグーがよい体格を維持できるようにしましょう
・肥満では無いケース
なお、太り過ぎだと思ってたら実は違う原因があったということがあります
メスなら妊娠の可能性もあります
単独飼育している場合でもペットショップでオスと一緒に飼われていたとすれば起こりえることです
また、ガス、腹水、胸水が溜まっていることもあるので、全体的に太ったのではなく、お腹だけ太ったように見える場合は
動物病院へいって診てもらうことをおすすめします
・肥満の見極め
人でも身長が違えば体重も異なるようにデグーにも体格差によって体重が異なりますので、数値だけで肥満かどうかの判断はできません
体つきをよく見て観察してみましょう
□背中を触っても皮下脂肪が邪魔をして背骨のゴツゴツがわからない
□顎や首まわり、前足の付け根にたっぷりと肉が付く
□胸部や腹部に肉がつく
<症状>
□肥満リスク
・毛づくろいがしにくくなるので、毛並みが悪くなったり、皮膚疾患になりやすくなる、陰部が汚れる
・皮下脂肪が多すぎて耐熱が放散されにくく、熱中症を起こしやすい
・厚い皮下脂肪によって、皮下のしこりなどに気づきにくい
・糖尿病、脂肪肝、高脂血症、心臓疾患などを起こすリスク向上
・免疫力低下
・体重を支える関節への負担、足の裏への負担増
・麻酔から醒めにくいので麻酔治療が行えないことがある
<治療>
・デグーのダイエット
食事内容を見直しましょう
ただし、いきなり量を減らすような方法はとらないでください
糖質や脂肪分の多い食べ物を与えている場合はそれを控えます
ペレットを与えているなら少しずつ減らしていきます
そしてその代わりに、チモシーのようなイネ科の牧草を十分に与えましょう
より、低たんぱく、低糖質なペレットに切り替える方法もあります
運動の機会を増やしましょう
回し車は簡単に取り入れられる運動方法です
また、体を動かさないと行くことのできない場所に食器を置いたり、あちこちに食べ物を書いたりするのもよい方法です
その場合でも、牧草だけは常に簡単に食べられるようにしておきましょう
また、部屋で遊ばせるときには、離れたところからデグーを呼び、来たら鉱物を与えるといった方法もあります
急激な減量は禁物です
体格や体重、便の状態をチェックしながら、時間をかけて行いましょう
なお、病気をもっていたり、シニアデグーの場合肥満でもダイエットをさせないほうが良いこともありますので、獣医師と相談しましょう
<予防>
適切な食事と運動を提供します
高カロリーなおやつを与えることは悪いことではありませんが、量や質に十分注意して与えましょう
みなさまデグーに関する様々な病気について学ぶことが出来たでしょうか?
デグーについてまだまだ知られていないことも事実です
気づきにくい部分もありますが、ちょっとした確認で助かる命もありますので、
毎日の微妙な変化を気にしてみてあげてください!
みなさまもデグーと一緒に健康的な生活を送りましょう!
それではみなさま、良いデグーライフを!
参考文献 『デグー完全飼育』 著:大野瑞絵 出版:誠文堂新光社